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治療内容

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永遠の幸を求めて

寺元院長 医療法人永遠幸の治療理念を統括する理事長の寺元です。当法人は前加藤レディスクリニック院長、加藤修氏(故人)と寺元の、「成功なくして報酬なし」という方針の基に2007年に開設しました。しかしながら治療は、「不妊治療とは妊娠できる卵巣機能を有した人から、可能性のある全ての卵子を過不足ない投薬により取り出す」という一見現実的な旧来の方針を踏襲していました。


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このピルと誘発剤を用いた合理的な治療は、直ぐに限界を露呈しました。つまり、卵巣機能が低下するに従い想像以上に効果がなくなるばかりか、卵巣機能が十分あっても成功率は50%に遠く及ばなかったのです。

・・・卵巣機能がなくても、女性の体にダメージを与えることなく、その卵巣の持てる全てを取り出す方法がないのか・・・ 

この難題に挑戦し、たどり着いたのが“卵子革命”でした。
従来信じられていた、“卵胞の発育=卵子の成長”という公式を根底から覆したのです。

また、良好卵子を用いても成功率が50%に達しない謎にも挑戦しました。その原因は、もっとも当たり前の灯台下暗し、つまり精子だったのです。良い精子という、当たり前のことが、不思議にもわかっていなかったのでした。そこから始まったのが、精子の常識を打ち壊す“精子革命”でした。

長い逡巡の果てに加藤修の遺志は私を突き動かし、
卵子革命と精子革命をもとに、
「自然周期革命」
という、全く新しい発想に基づく体外受精にたどりつきました。

自然周期

治療の基本は基礎体温表

超音波検査法が普及した今日、基礎体温表は重視されなくなりました。基礎体温表は、不妊治療施設に行く前の段階の、自己タイミングを知る手段に過ぎないという立場に成り下がったのです。
しかし、基礎体温表には、超音波検査と異なり、多くの有用な質的情報が含まれています。
良く考えられた体温表に、実測体温計により計測し書き込んだ記録は不妊治療の原点です。低温期と高温期の規則的な繰り返しは、良好卵子の存在を保証します。また、基礎体温表は不妊治療の履歴でもあります。いつどんな薬や注射を用いたのかという正確な記録は、過去の治療を検証し、現在の卵巣の状態を評価するための唯一の方法なのです。
排卵周期は過去・現在・未来と連続したものであり、今だけが独立した周期ではありません。過去の異常は必ず今に影響し、そして未来を乱し、不成功の原因となります。基礎体温表を見返すことは、自らの治療を省み、過去の失敗の原因を突きとめ、未来の成功をかちとるために不可欠な作業なのです。

なぜ基礎体温表を重視するのか

今や体外受精は、ピルによる事前調整から始まります。正常な排卵周期を止め、人工的生理周期を前提とする以上、基礎体温の意味はありません。したがって医師は「つけなくていい」と言い、あろうことか、 「精神的苦痛にしか過ぎない」とまで言います。
しかし、医師は毎日診察するわけではありません。たまに診る患者さんの状態は、連続した日々の変化の中での、その日という点にしかすぎません。
しかも頼りとする超音波検査には、ホルモンという質的情報が伴いません。ただの形態情報なのです。
優れた警察官は、見ただけで挙動不審者に気付きますが、その後職務質問を行い、質的情報を分析しないと犯罪者かどうかわかりません。
医療も同じです。形態情報は重要ですが、さらに重要なのはホルモン情報なのです。
診療の狭間の、点と点を繋ぐ線、それが基礎体温表であり、医師が知らない期間の、ホルモン変化を反映した内容を含んでいるのです。

自然周期が原点

我が子を望む皆さんが生まれてきたのは、自然の営み、即ち自然周期からです

当院は世界で唯一の自然周期専門クリニックです。自然での卵胞成長は、皆さん、それぞれ異なります。早い人、遅い人、後半急に育つ人、失速する人・・・。そんな卵胞成長を正しく評価するためには、超音波検査だけでは不十分で、必ずホルモン4項目(E2,P4,LH,FSH)を調べる必要があります。自然周期の成否は、最適なタイミングでの採卵に尽きますが、それは想像以上に高度な技術を必要とするのです。
我々のTOWAKO式完全自然周期では、体の発するあらゆる情報に全神経を集中します。
自然の卵巣の状態を正しく評価し、そして、自然が優良な卵子を選んでくれるのを待ちます。自然周期で選ばれた主席卵胞には、年齢によらず、その周期の最良の卵子が、いつか出会うあなたを待っているのです。
卵巣の能力が低下しても、赤ちゃんになれる卵子は必ず残っています。

自然周期と無刺激の違い

自然周期を簡単だと思っている人が多いのではないでしょうか? 実際、患者さんも医師も高刺激周期は高度で進歩した方法だと思っている人が多いようです。それは、投薬をしないことイコール簡単だと、勘違いしているからなのです。
しかし我々は、投薬をしない体外受精は無刺激体外受精と呼び、自然周期体外受精と区別しています。自然周期体外受精では、自然妊娠とほとんど同じ状態での採卵を目指します。それは自然の卵胞成長、排卵という複雑な過程をホルモン値をもとに解析し、自然排卵と同じタイミングを採卵することを意味します。
調節刺激周期は、決められた手順に従って投薬を行えば、医師の経験の程度に関係なく、結果に大差ありません。
ですから高刺激を中心に行っている人が、「高刺激は無理だから自然周期でもしましょう」と言うのは、無刺激と自然周期を混同した見下しです。自然周期を甘く見てもらっては困るのです。

自然周期の実際

自然周期の来院日程タッチで図を拡大

生理3日目は診察の基本です。ホルモン検査と超音波検査により、その周期の基本情報を確認します。自然周期では薬剤は全く使わず卵胞の成長を見守ります。2回目診察は原則的に生理10日目です。早い人はこの時点で採卵日が確定しますが、通常はこの時の所見を基に3回目の診察日を決めます。数回の診察の後、E2値と主席卵胞の大きさが最適になったら、採卵日を決定します。排卵の兆候がない場合には、点鼻薬を用いて人工的に排卵時間を決定し、その34~36時間後つまり2日後の午前中に採卵を行います(予定採卵)。黄体化ホルモン(LH)が上昇して排卵の兆候(LHサージ)が表れている場合には、薬剤により一時的に排卵の進行を止めて2日後午前中に採卵を行います(抑制予定採卵)。抑制が不可能で排卵が不可避の場合は自然の成り行きに従って、当日または翌日の排卵前に採卵します(緊急採卵)。採卵時にすでに卵胞が破裂(いわゆる排卵済)している場合には、破裂後の卵胞からの微量残液回収を行います(破裂後採卵)。卵子が採れて、採卵後5日目に基準を満たす胚盤胞に育った場合は、子宮内膜と黄体期能に問題がなければ凍結することなく新鮮胚で移植します。しかし、アシステッドハッチング(孵化補助)が必要な場合や発育が遅い場合、卵管の通過性、内膜の同調性、黄体期能に異常がある場合は一旦凍結保存し、翌周期に融解して移植することになります。

自然周期とホルモン

人体は様々なホルモンにより調整されて、初めて効率よく働きます。とくに生殖の分野では、単一排卵に関わるホルモンの働きが重要ですが、4つ以上のホルモンが複雑に連携します。
そこで、検査に時間と費用がかかり解釈に苦労するホルモンを調べるよりも、見た目で簡単に判断できる超音波検査を重宝するようになりました。
しかし超音波の情報は、見かけ(大きさ)と内容(ホルモン値)が一致するという前提が成り立てば役に立つのですが、実は一致していないことが多々あります。その結果困ったことに、打つべきでないときに注射をしたり、成熟していないのに採卵したりというミスが度々起こるようになります。
自然周期がホルモン中心の治療である理由は、ここにあります。